| 小さな子供にしか見えなかった。 たしかに、こどもの世界では大人な方なのかもしれないが、自分からすれば、小さな小さな子供にしか見えなかった。世界の端でもがいている、微生物にも似た。 だから、どう反応すればいいか、よくわからなかった。 子供は真剣なかおで、自分を見上げている。 どうすればいいのか、よくわからない。わからないまま、とりあえず子供が嫌いそうなことを言う。 「抱かれてェのか?」 「別に、そういうわけじゃ」 子供は動揺の色もなく、短く答えた。 その目はさらさらとした光を帯びていて、ひどくここに居辛い。 ため息は紫煙を伴って、肺を苛めに外気へ潜った。曇る白い空へ、溶けにいったのかもしれない。 子供はじっと自分を見ている。 「ヤってみてェのか?」 「監督となら」 「他ァ探せ」 「なんでっすか?」 「子供はお断りだ」 ゆっくり、まるで、そう作られた人形のように、子供は首を傾げた。 それまったくに、幼さだけで構成された仕草で、空を仰ぐだけじゃ足りない焦燥に狂わされそうになる。何が悪くてこういうことになったのか、さっぱりわからない。じぶんの何が悪かったのか。 「でもぼくは、」 やめろ、と思う。世界の片隅でうめく微生物にはイロハもわかってはいないのだ。その言葉を口にしてはいけない。 |