上げていた空はあまりに広く、目が眩んだ思いがした。

 不安定に腰掛けたフェンスが、揺れて倒れていくような錯覚。
 あまりにも青いので、ふいに、鴨神を思い出した。
 どうせ今も、スケジュールが合わないだのちまちま細かいことを言って、あの眉間に皺を寄せているに決まってる。この空を見て、そんなもの、全て奪われてしまえばいい。奪われてしまえばいいのだ。阿呆みたいに、笑ってしまえばいいのに。
 阿呆みたいに。
「鷹羽さん」
 そう思っていたら、不意に鴨神が視界に入ってきた。  見たことのない格好をしている。たぶん、高校の制服なのだろう。
 思ったものの、それ以上どう考えたらいいのかわからず、鷹羽は
「か、鴨神……?」
 と、間が抜けた声で聞き返した。
 実際、顔も間が抜けていたと思う。鴨神に阿呆な顔をしろと願っていたのに、阿呆な顔をしているのは自分だ。
 かくなる上は、是非こいつにも阿呆な顔をさせるしかない。



このお話はロマンチさんのトップ絵を元に書かせていただきました。感謝!