機械的な日常だって、貴いものだと知っている

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 突然、猿野から電話がかかってきた。どこかに遊びに行かないかという。用事がないわけではなかったけれど、そんなことを言ったらいつ休みをとれるかなどわからなかったので、次の日曜に約束をした。
 隣町の遊園地に行きたいのだと、電話越しの声が弾んでいた。相変わらずの騒ぎに、通話を切った口元がほころぶ。
 日曜日は晴れると、窓の外で土曜日の夕日が鮮やかに告げている。

 初夏の陽射しできらめくチケット売り場の軒下から、帽子を被った猿野が大きく手を振った。大きな荷物を手に下げた子津が、その横で会釈している。
 虎鉄や兎丸たちは午後遅くから来るのだと、不満げに唇を尖らせる猿野は入った途端、スイッチが切り替わったように勢い良く飛び出し、子津を困らせた。 
「ねえ、どうして今日いきなり?」
 ジェットコースターを乗り終えて、青くなった子津を尻目にもう一度とはしゃぐ猿野へ、尋ねた。
「なーんか、最近おんなじことばっかでつまんねえから、ぱーっと遊びてえなって」
「だからって、前日はないんじゃないのぉー」
「唐突にも程があるZe」
 座っていたベンチの背後から、兎丸と虎鉄が顔を出した。
「おかげで、司馬くんダメだって」
「猪里に声かける暇もないしNa」
「高校生ンときに比べて刺激が足りないっていうのはわかるけどさぁー」
 代わる代わる言いながら、猿野の頬をつついて二人がわらった。「男は思い立ったらが肝心じゃーっ」といきりたった猿野に追い回されて、楽しそうな笑い声が上がる。
「……変わらない毎日だって、悪くないと思うけど」
「今、何か?」
 青褪めて、隣のベンチに寝そべっていた子津が、軽く顔を上げた。笑顔で手を振って、晴天の空を見上げる。目を射るような太陽が、だんだんとその赤みを増していく最中だ。風は重く湿り気を帯びてべたついている。紛れもなく、日本の晴れた日だった。
 痛いほど陽射しを避けて、目を瞑る。暗闇の中に、色とりどりの残滓が浮いては消えていく。
(同じ日がいつまでも続いて、彼が帰ってくるまでに、何も変わらなければいいのに)


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