アリス、アリス!

オレンジの花咲く丘の上

 りんごの、まっしろい花の咲く下で、僕は目を覚ましました。
 大きな幹に背を預けて、絵本を捲っていた人が、起きたの、と首を傾げます。寝ていたのが恥ずかしくて、僕ははにかみました。もうすこし寝ていてもいいよ、長い夢を見ていたんだね、その人がいいました。
「もう、大丈夫だよ」
 丘の上から見える小さな木立には木が生い茂り、隣り合わせに赤い屋根の僕のお家があります。それを囲むように広がる見渡す限りの草原が弧を描く先、いまにも破れて中身の流れ出しそうな太陽が僕らの上にはなやかに咲く白花を照らして、まるでそのままみかんに育ちそうな色になりました。
「もう眠くないんだよ」
 そう、と絵本を捲っていた手で僕の頭を撫でて、司馬くんが笑ってくれます。
 風に吹かれ、夢の中から逃げ出すように花びらが僕らの上に舞い散りました。