アリス、アリス!
お別れ
「司馬くんは一緒に行ってくれないの?」
送ってくれるというナイトと並んで振り返ると、司馬くんは笑って手を振りました。それはちっともさびしそうでもかなしそうでもなく、明日お日様が昇ればまた会えるのだと、約束してくれているようです。僕は笑い返して、門をくぐりました。
門の向こうでは薔薇が道の周りに咲き誇っていました。うつくしく、華やかな大輪です。土の道を覗き込むように、首を垂れています。血に似たあかいろでした。
道に終わりには、大きなアーチです。アーチの手前で、ナイトが立ち止まりました。
「びみょ〜に、オレはここまでね〜」
「うん、ありがと」
「あ、そうだ、これね〜」
ナイトが懐から、司馬くんから預かっていてくれた時計を取り出しました。薔薇の蔓を一本抜き取り剣で棘を払いました。それに時計を吊るして、僕の首にかけてくれます。
「君を待っている人がいるよ、急いで」
頷いて、振り返りました。どこまでも、道なき道が続きます。僕は足取り軽く、駆け出しました。